05.ポルト最大のイベント、サンジョアン祭り
週末になると、「よい週末を!」という意味で「Bom fin semana!」と挨拶をするのだが、毎年6月中頃になると「Bom São João!」という言葉があちこちで聞こえ始める。
それはポルトガル3大祭りのひとつ、サンジョアン祭り(Festa de São João do Porto)が近づいているしるし。毎年5月下旬~6月下旬まで、街中がお祭りムードに包まれ、あちらこちらでイベントが催され、そして毎年6月23日にそのピークを迎える。
お祭りの当日は、街中の人々が時計をチラチラ、携帯電話で友人とメッセージを送り合い、仕事をしていても今日は営業終了という雰囲気が午前中から漂っている。わかりやすい性分のポルトガルなのである。
それはポルトガル3大祭りのひとつ、サンジョアン祭り(Festa de São João do Porto)が近づいているしるし。毎年5月下旬~6月下旬まで、街中がお祭りムードに包まれ、あちらこちらでイベントが催され、そして毎年6月23日にそのピークを迎える。
お祭りの当日は、街中の人々が時計をチラチラ、携帯電話で友人とメッセージを送り合い、仕事をしていても今日は営業終了という雰囲気が午前中から漂っている。わかりやすい性分のポルトガルなのである。
サンジョアン祭りは、600年以上の伝統があり、19世紀にポルトガルの重要な祭典として定着した。起源はカトリックの聖人サンジョアン(別称:聖ヨハネ)を祝福するとともに、夏至にまつわる異教の儀式を再建するものだったそうだ。近年では宗教的な意味合いは色あせ、ヨーロッパでも最大規模のストリートフェスティバルとして知られており、ポルトの街をひとつの大きな会場に見立て、音楽・美食・花火などで楽しませてくれる。そして、祝福のための幾つかの宗教的なシンボルが、そのエンターテイメントの中に溶け込んでいる。
お祭りの準備は一か月前から始まり、街中がフラッグやセロハン、イルミネーションなどで飾り付けられ、それらは素朴だが、ポルトのカラフルな街並みによく映えて、ローカルな路地裏までもが市民の手作りにより見事に特別な場に仕立てられていく。街の広場にはコンサートのための舞台や屋台が設置され、当日は大規模な歩行者天国で繋がれる。
このお祭りをユニークなものにしているのは、おもちゃの柔らかいプラスティックハンマーを携えて、通りすがりの人の頭を叩いて回る光景だ。かつて、豊沃と運の象徴であるガーリックの花で頭を撫でて祝福していたことに由来するという。出会いがしらに、にこりと笑い合いながらハンマーを振りかざす、とてもエネルギーのある一期一会。こんな少し不思議な人と人との繋がりが、お祭りの一体感と興奮をさらに高めている。
夕方になるとあちこちでイワシの炭火焼きの匂いが充満し、ケールの葉っぱで作る緑のスープや子羊のグリル、ワインなどが並び食欲をそそられる。子羊を食べる習慣は、神の子羊のイメージであり、イワシについてはポルトガルの食文化に合わせてそれが大衆化したものだとされている。イワシは一匹まるごとパンに挟んで、カジュアルにテイクアウェイするのが流儀。
食欲が満たされると、次第に人々がリバーサイドに集まり始める。そして日付が変わる頃、異教の太陽崇拝のシンボルとして打ちあがる花火は、ドウロ川の水面をきらきらと輝かせ、お祭りのクライマックスとなる。しかし、お祭りはこれでお終いではなく、ポルトガルの陽気な群衆はさらに音楽やお酒、花火を求めてポルト西方のビーチ、あるいはプライベートパーティーへ大移動し、その賑わいは朝まで続くこととなるのだ。